皮張りの種類と特性

人工皮張りの種類と特性

ナイロン系の素材に蛇柄が印刷された「皮」。
比較的安価な三線に用いられることが多く、カン高い音が特徴であり、蛇皮本張りのような暖かい音は期待できません。しかし、いつかは破れる蛇皮本張りと違い、半永久的にメンテナンスの心配は不要です。このため、ミュージシャンや沖縄の民謡歌手が、ステージに立つ際に人工皮を用いるケースは多いのです。蛇皮本張りであるとステージ中に破れる危険があります。


明らかに蛇皮本張りと比べて音質が劣るのと、見た目の安っぽさが人工皮張りの欠点と言えます。

本皮と人工皮の比較
左が「人工皮張り」で右が「蛇皮張り」です。質感の違いがよくわかります。


蛇皮強化張り

人工皮よりも更に薄いナイロン系素材を胴に張り、更にその上から包み込むように蛇皮を張り付けたものです。
以前であれば、このような状態であるので音の抜けは悪いとされておりました。確かに本張りと比較すると、少しこもった様な音になりますが、現在では、かなり改善されてきています。特に当店で扱う「入魂の三線シリーズ」の強化張りは、古典や民謡の師範の方であっても本張りと聞き違えた程、音の抜けは良い状態です。
この「皮」も本張り(蛇皮一枚張り)と比べて半永久的に皮破れの心配はなく、人工皮と比較しても「見た目」が「蛇皮」であるのも「ホンモノ」らしく良いとされています。

流通する三線の多くは蛇皮強化張りです。

蛇皮本張り

ビルマニシキヘビの皮一枚を胴に張り付けたものです。蛇一匹で三線用の皮は5~6枚ほど取れますが、尻尾の近くの皮は一番ウロコが大きくて上質とされています。

最高級蛇皮
左:最高級皮 右:通常皮
最高級蛇皮(拡大)

尻尾より一番皮、二番皮、三番皮とランクが付いております。沖縄三線 和於屋(わおやwaoya)で扱っている本張りは、基本的に一番皮、二番皮を使用しておりますが、通常よりも大きい蛇の皮を使用し、且つウロコが大きく、形が整っており、ウロコ間が詰まっているモノを「最高級蛇皮」と称しております。音の抜けや音質は、まさに最上級の三線の音です。

ウロコの大きい皮が上質で音色が良いとされるのはなぜでしょうか?
ウロコが大きいと言う事は、それを支える皮下組織に厚みがあり、蛇皮全体が強固になっていると言う事なのです。強固な皮なら、胴に張った時、ウロコの小さい皮よりも、より強く張れるのです。
強く張れるので素晴らしい音色を醸し出してくれると言う事なのです。

ただ、 本張りの欠点としては、いつかは必ず破れます。
必ず破れる蛇皮本張りですが、師範の方や中上級者の方の多くが蛇皮本張りを選ばれます。多少のリスクはあっても、より良い音色の三線を演奏したいとお考えだからだと思います。

また、蛇皮本張りは消耗品としての認識が必要なので、今ある音色が無くなってしまうと言ったネガティブな考えではなく、仮に破れても「次の皮はどんな良い音色を楽しませてくれるかな♪」といったポジティブにお考えになったらよいと思います。

※ 皮が破れた場合、蛇皮本張りは保証期間中なら、無料で張り替え致します。

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